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万葉集巻第一より
【三番歌】
やすみしし わが大王の 朝には 取り撫でたまひ 夕には い寄り立たしし みとらしの 梓の弓の なか弭の 音すなり 朝狩に 今立たすらし 夕狩に 今立たすらし みとらしの 梓の弓の なか弭の 音すなり
【研究】
冒頭部から六句目を参照して、祝詞における神明への感謝・崇敬などの表現に転用できます。語句の構成だけではなく、後半の語彙もおおむねそのまま使えそうです。実際に一例を示しますと、まず歌は、
やすみしし 我が大君の 朝には 取り撫でたまひ 夕には い寄り立たしし
初句と二句は神明をあらわす語句、例えば以下のように換えます。
ちはやぶる我が大神の
何を「取り撫でたまひ」、何に「い寄り立たし」なのかというと、(この歌では)弓なのですが、この弓を氏子崇敬者や参拝者などとするなら、祝詞文中の語句としてしっくりきます。
あとは微調整をします。まず、「取って撫でなさる」のは通常では考えられませんので、「撫で幸(さき)はへ給ふ」などとします。つぎに「い寄り立たしし」の最初の「し」は敬語ですが(二番目の「し」は過去の意味の助動詞)、これを「給ふ」に換え、「い寄り立ち給ひて」とします。まとめてみると、
ちはやぶる我が大神の朝には撫で幸はへ給ひ、夕にはい寄り立ち給ひて
最後の「……い寄り立ち給ひて」を「……い寄り立ち給ふ」とし以下、
大御恵を仰ぎ奉り、辱み奉りて
などとつなげれば、まずまず感謝・崇敬をあらわす表現となります。