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宮司就任奉告祭祝詞7 お願い申し上げる部分など
きょうは神様にお願い申し上げる部分と、結尾部について、どうつくっていったのか、説明してゆきたいと思います。
話は前後しますが、結尾部は「恐み恐みも白す」と、単純に終えました。冒頭部を「挂巻(かけまく)も畏き某神社の大前に恐み恐みも白さく」と単純なかたちで始めたのに、呼応させるためです。
では、お願い申し上げる部分について。ここは書きだすより前に、以下の三点を考えていました。
①聖上のご繁栄、お守りくださいとお願い申し上げること。
②氏子区域、ひいては及ぶ限りの場所にまで、ますますお蔭を蒙らせなさいませと、お願い申し上げること。
③神社の関係者が仲よく神様にお仕えできますようにと、お願い申し上げること。
順番もこのとおりに申してゆくのが穏当でしょう。まず①は「いまの御代が長く、穏やかな御代となるように」ということで、
皇御孫命(すめみまのみこと)の大御代を、手長の御代の穏(おだ)しき御代と
そして、そのような御代であるべく盤石にお守り、幸あらせなさいませ、とお願い申し上げます。
堅磐に常磐に斎(いは)ひ幸(さきは)へ奉り給ひ
これで①は完成。「奉る」は聖上への、「給ひ」はご祭神への敬意を示します。
ついで②はまず、氏子区域は申し上げるまでもなく、ということで、
是の〇〇の郷内(さとぬち)は白すも更なり
〇〇には具体的な地名が入ります。これにつづき、及ぶ限りにお蔭を……としたいところを、式祝詞の表現を借りて、
谷蟆(たにぐく)の狭度(さわた)る極(きはみ)、塩沫(しほなは)の留まる限
祈年祭や六月月次にある表現とほぼ同じです。「谷蟆」は、ひきがえる。「度」をワタルと読んでいるのは、原文どおり。べつにふつう「この語句につづき、霊妙なお蔭をますます蒙らせなさいまして、とします。
奇(くす)しく妙(たへ)なる大御蔭を、弥益益に蒙(かがふ)らしめ給ひ
これで②が完成しました。
ついで③は、神社の護持運営が停滞しないよう仲よくご奉仕させてください、ということです。奉仕神社の関係者は神職、氏子総代、神社委員といいますので、まずこれを、
神職(かむづかさ)を初めて、氏子総代・神社委員に至る迄に
としました。仲よく、というのはいくつか表現がありますけれども、ここでは、めいめいが勝手なことをしないように、という意味で「己が乖乖(むきむき)在らしめ給はず」とし、お仕え申し上げさせてくださいと「仕へ奉らしめ給ひ」を、これにつけくわえます。
己が乖乖(むきむき)在らしめ給はず、仕へ奉らしめ給ひ
この③でお願い申し上げる部分は終わりですので、結尾部の「恐み恐みも白す」につなげるべく、「仕へ奉らしめ給ひ」の最後を「給へと」と変えて、完成です。
それでは、きょう説明した部分をぜんぶまとめて、以下に掲げてみましょう。
皇御孫命(すめみまのみこと)の大御代を手長の御代の穏(おだ)しき御代と、堅磐に常磐に斎(いは)ひ幸(さきは)へ奉り給ひ
是の〇〇の郷内(さとぬち)は白すも更なり、谷蟆(たにぐく)の狭度(さわた)る極(きはみ)、塩沫(しほなは)の留まる限、奇(くす)しく妙(たへ)なる大御蔭を弥益益に蒙(かがふ)らしめ給ひ
神職(かむづかさ)を初めて氏子総代神社委員に至る迄に、己が乖乖(むきむき)在らしめ給はず、仕へ奉らしめ給へと、恐み恐みも白す