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祝詞作文ノート

人形感謝祭祝詞5 おまつりする(3)

人形感謝祭祝詞5 おまつりする(3)

 

 今日は前回に引き続き、人形感謝祭についてお祭りするようすを、核心にあたる部分をつくっていきます。

 

 人形を祖霊殿前に安置、祓うなどの所作をここで申すこととして、単純なかたちでは「祓の神事仕へ奉り」「祓の神業治め奉らむとするが故に」などの表現があると、すでに述べたところです。

 

 まず人形。どんな人形かというと、あちこちから、お祓いしてお焚き上げしてくださいと持ち込まれたもので、中には氏子区域外の人もいます。そうした人形を祖霊殿前にたくさん並べます。

 

 人形を持ち込む人は「御氏子・崇敬者等」、そういう人たちが、あちこち「遠近(をちこち)」より、どうするのかというと、持って来る。持って来るは敬語を用い、「持ち参(まゐ)来たる」としましょう。

 

御氏子・崇敬者等の遠近(をちこち)より持ち参(まゐ)来たる人形をば、

 

なお、「御氏子」はミウヂコ、崇敬者はスウケイシャとそのまま読む人もいますが、私はできるだけ訓読みで読みたいのでマメビトとします。「等」はじぶんより上ならタチ、同格から下ならラまたはドモ。ここではラと読むことにしましょう。「人形」はそのままニンギョウとした方が、参拝者には分かりやすいかもしれませんけれども、ここではヒトガタと訓読みしてみます。

 

そのような人形を、今、みたまさんの前にたくさん置いて並べる。たくさんは「ここだく」、ほぼ同じ意味を持つ古語には、「さはに」「あまた」があります。

 

置いて並べるは「据ゑ並め」、これもただ並べるのではなく、みたまさんのために並べましょうという意味を込めるなら、敬語が必要です。この場合は「奉る」を加えて「据ゑ並め奉る」とするのが自然でしょう。

 

今し御前に、ここだく据ゑ並(な)め奉りて、

 

 まさに今、ご霊前に(この場合、みたまさんが祭祀の対象です)が「今し御前に」。冒頭部で「代代の祖先等の御前に」としていますので、揃えて「御前」をつかいます。もし「大前」をすでにつかっているなら、やはりここは「大前」とした方がよいでしょう。

 

また、「並め」は「並べ」としても変わりません。ただし、まちがいなく「並め」の方が古いかたちであるということはいえます。

 

 つぎに、こういう理由でお祭りをお仕え申し上げます、というような内容を申したい。この人形感謝祭はもと供養祭という名前だったとはいえ、年一度行ってきました。そこで、毎年行ってきた例によって、ということも申すことにします。

 

 これをまとめて、古語にしていきますと、毎年の例は「年毎(としごと)の例(ためし)」。(そのように)定めるために、は「定むるが故に」。合わせて、

 

年毎の例(ためし)と定むるが故に

 

 ここの「と」は現代語にすると「~として」という意味で、祝詞では特によくつかわれる表現です。この人形感謝祭祝詞においても、もう出てきていますし、これ以降もよく出てきます。

 

 つづいて、毎年の例と決めているために、のあとに、お祭りしましょうと、という意味の語句をつなげます。いまはオマツリといいますが、祝詞ではミマツリとすることがほとんどです。その御祭を「する」。神職が祝詞作文をするのですから、やはりお祭りはお仕えするものと意識して、そう表現しなければなりません。直前の語句と合わせて、

 

 年毎の例と定むるが故に御祭仕へ奉ると

 

 ここだけを見るとまるで例祭祝詞のようですが、この語句の前には、氏子・崇敬者が持参した人形をお並べ申し上げた旨を申しておりますので、参列者の間で誤解はないかと思います。ましてやみたまさんにはお見通しでしょう。

 

 これでまだ気になるようでしたら「御祭」を「今日の御祭」としたり(ただし、すでに「今日」の生日の足日に、という表現をつかっていますので、そちらも変更するのが無難です)、いっそのことはっきり「人形感謝祭仕へ奉ると」と申してしまう手もあります。

 

 ここまでで内容上から見るとつぎに移ってもよいくらいなのですが、分量が少し足りないので祭場についても申すことにします。

 

 この場所を祭場とし、祓い清めて……という意味で単純に古語にするなら、

 

此の処を斎庭(ゆには)と祓へ清めて

 

 となります。しかし、これでもまだ分量が足りません。なお、ここの「と」は前述の「~として」の「と」です。

 

 まず祭場。祝詞ではふつう、「~な」祭場……と、前に「称辞」をつけ加えます。代表的なものは「厳(いつ)の」。立派な、おごそかな、という意味です。あまりつかわれているのを見たことはありませんが、他には「瑞(みづ)の」「珍(うづ)の」などが考えられます。

 

 さらに、大麻(おほぬさ)をもってお祓いするので、これも申すこととして、代表的な語句からひとつとり「振る大麻の音もさやさやに」としましょうか。「さやさらに」はサラサラと。この部分を「清清(すがすが)しく」などとすることもできます。

 

此の処を厳(いつ)の斎庭(ゆには)と、振る大麻(おほぬさ)の音もさやさやに祓へ清めて

 

 さらに、祭場の設営についても申すことにします。前述のように、祝詞ではあんまり具体的には申しません。お祓いについてはともかくとして、例えば清掃したこと、薦を敷いて、案を置いて、玉串に紙垂をつけて、などとは通常書くことはありません。そうしたことをまとめて申します。

 

 ここでも同様に、いろいろと準備をした、という意味で古語にし、「種種(くさぐさ)に装ひ設けて」としてみます。この語句を置く場所は、前述の「祓へ清めて」のあとよりも、「厳の斎庭と」のあとの方が自然でしょう。「設けて」はモウケテと現代と同様に読むこともできますけれども(仮名づかいは「まうけて」)、ここではマケテと上代の音にならうことにします。

 

此の処を厳(いつ)の斎庭(ゆには)と種種(くさぐさ)に装ひ設(ま)けて、振る大麻(おほぬさ)の音もさやさやに祓へ清めて

 

 これで過不足がないんじゃないかな、というくらいまできましたので、人形感謝祭祝詞のお祭りする部分がひとまず完成したということで、この部分をすべてあげてみます。

 

御氏子・崇敬者等(まめびとら)の遠近(をちこち)より持ち参(まゐ)来たる人形(ひとがた)をば、今し御前にここだく据ゑ並め奉りて、年毎の例と定むるが故に御祭(みまつり)仕へ奉ると、此の処を厳(いつ)の斎庭(ゆには)と種種(くさぐさ)に装ひ設(ま)けて、振る大麻(おほぬさ)の音もさやさやに祓へ清めて

 

 あすは引き続き、お供えについての語句をつくります。

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