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人形感謝祭祝詞3 おまつりする(1)
冒頭部に引き続き、「お祭りのようす」の部分をつくっていきます。
冒頭部のつぎに祭祀の対象への、感謝や崇敬、ご神徳などを申すこともありますが、ここでは即、お祭りのようすに入ってみます。
しかしながらこれは祝詞のメインになる部分ですので、何といっても範囲が広い。そこで細かく分けることとして、順に以下のような内容で書いていくことにします。
一、人形感謝祭の行われる日について
二、人形を祖霊殿前に安置、祓うなどの所作
三、お供えについて
四、拝礼のようす
上記「二」が純粋な意味での「お祭りのようす」の部分です。
「四」のあとに、お聞き届けください(平けく安けく聞し食して)とつなげて、みたまさんへお願い申す部分へと移ると、現代祝詞として自然な形になりましょう。
また、人形感謝祭を少し離れてみると、これらの四項目にはそれぞれ、よく使われる表現がありますので参考のために、おのおの二例ずつあげてみます。
一、今日の生日の足日に/今日を生日の足日と選み定めて
二、祓の神事仕へ奉り/祓の神業治め奉らむとするが故に
三、御食・御酒、種種の物を献奉(たてまつ)り/御食・御酒を初めて、海川山野の味物を机代に置き足らはし
四、拝み奉る状を/御祭仕へ奉る状を
以下、「平らけく安らけく聞し食して」につなげるわけです(もちろん、この「平らけく……」という語句、お聞き届けくださいと申す部分も、さまざまなバリエーションがあります)。
これら「一」から「四」にあげた例の語句を取捨選択して並べても、短いながらまずまず一折の祝詞にはなります。ただ、これだけでは抽象的に過ぎます。
確かに、祝詞においてはあまり具体的には述べない、そんな傾向があります。例えば、その祭祀を執行する年月日をあげて、
平成〇年〇月〇日の今日の生日の足日に
とすることは、あまりありません(ただし、中世の祝詞にはよくあります)。
しかし、年月日うんぬんはともかくとして、これが人形感謝祭という祭祀であって、こんなふうにお祀りして、こんなお供えを献上し、こう拝礼して……と、もう少し具体的に申したいところです。
そこで次回は各項目を順に、ふくらませていく過程を述べていきたいと思います。